閑古錐〜生涯挑戦主義(毎週木曜更新…の予定。)

禅を愛好する、某スーパー勤務おばちゃんの日々

無人島に持っていきたい本

先日の新聞で、『歎異抄をひらく』という本の広告を見た。
見出しに、「生涯に一度は読みたい古典の名作」とある。
作家の司馬遼太郎さんが、「無人島に一冊だけ本を持っていくなら『歎異抄』だ。」と言ったらしく、その他にも、哲学者の西川幾太郎さんの、「一切の書物を焼失しても、『歎異抄』が残れば我慢できる」という言葉などが広告に載っていた。
歎異抄』は、浄土真宗の開祖、親鸞の語録を弟子の唯円が書き残したものだが、私は現在までまだ読んだことがない。私の母の実家が浄土真宗の檀家なので、全く縁のない書物ではなかったのだが・・・。
歎異抄をひらく』という本を今後読むかどうかはともかく、この本の新聞広告にひきつけられたのは、無人島に一冊だけ本を持っていくなら・・・。」という司馬遼太郎さんの言葉だった。私が無人島に一冊だけ本を持っていくなら、どの本にするか?

すぐに思いついた。
天台宗の僧侶で作家の今東光さんの『毒舌 身の上相談』集英社文庫)だ。
私が20代前半の頃に買った本で、今でも時々読み返している。悩んだ時にこの本を開いて、何回気持ちが軽くなったかしれない。現在は絶版になっているので、その点でも私にとっては大切な本だ。
男性向け雑誌の「週刊プレイボーイ」で連載されていた人生相談をまとめた本なので、性に関する相談は、男性ならではといったものがあるが、その他は本質的にはどの悩みも男女関係ないと考えさせられる内容だ。
残念なのは、私がこの『毒舌 身の上相談』の本に出会った時には、もうとうに今東光さんは故人となっていたことだった。この本が現在も絶版なのも残念でならない。

『毒舌 身の上相談』の相談の中で私が最も好きなのが、「正しい人生とは?」という相談に対しての答えだ。

正しいとか何とかいうものは、人が見て正しいか正しくないかというだけのことで〜(略)自分が、これが正しいと思って闘って、勝つか負けるか、これだけだよ、人生なんて。あくまでもその人にとっての人生であって、客観的な価値観なんてのはあり得ないんだ。