閑古錐〜生涯挑戦主義(毎週木曜更新…の予定。)

禅を愛好する、某スーパー勤務おばちゃんの日々

「外出自粛要請」で思ったこと

とうとう、北海道は新型コロナウイルスの感染者が全国で最も多いところとなってしまった。
北海道知事から「緊急事態宣言」がなされ、先月29日から昨日まで、週末の外出自粛が呼びかけられるという、異例の事態となった。
きょうは、その「週末」が明けたのだが、依然、不要不急の外出は控えることに変わりはない。

既に一部の企業では在宅勤務や時差出勤などの対策をとっているようだが、接客なしでは仕事にならない私のようなスーパーでの勤務ではどちらの対策も実行不可能だ。
29日は、私はシフト上、休みと決まっていたので、一日自宅に居た。このところすっかり編み物にハマっているので、殆ど編み物をして過ごした。残り毛糸を利用して、帽子を編んだ。その他にも、残り布で小物を作ったりと、こんなに手芸に夢中になるのは何年ぶりだろうか。

今回のコロナウイルス騒ぎでの外出自粛で、いろいろ思うところがあった。
これは、今回のような本格的な外出自粛要請が出る少し前のことだったが、どうしても用事があって街に出掛けた時、ついでだからと、デパートの催事場に行った。私の大好物の「赤福」(伊勢名物)がその催事で販売されており、滅多に無い機会なので買いたかったのだ。マスクをしっかり着け、「赤福だけ買ってすぐに退避(大げさだが。)」と固く決めて出掛けた。

催事場に行ってみると、いつもなら前に進むのも困難な程の人波の催事が、びっくりするほど閑散としていた。やはり、感染を恐れて、催事の人混みを避ける人が多いのだろう。
ゆとりのある空間の中に、車椅子で来場している人を三名見た。通常のこの催事なら、まず見かけない光景だ。この時期(感染を恐れて外出を控える人が多い)なら、大人気催事でも車椅子が会場を通行できる空間があるのではと推測して来場したのかもしれない、とふと私は思った。


私がすれ違った車椅子の来場者は、どの人もとても楽しそうな表情をしていた。きっと、これまで行ってみたいと思いながらも、混雑する中での車椅子での来場を躊躇っていたのかもしれない。
こんな言い方はふさわしくないかもしれないが、コロナウイルス騒ぎが起こったことで、あの車椅子の人達は、周囲に気兼ねすることなく大人気催事を楽しむひとときを経験できた、ともいえるのではないだろうか。
自由にどこにでも外出できる体をもっていると、気づきにくいことがある。
マスクが無いといっては大行列に並びに出掛け、今回は、誰かが流したデマを信じた人々が、トイレットペーパーを求めて出掛け、またもや大行列だ。
いつでも動き出せる体をもっているということは、立ち止まって冷静に考えるということをつい忘れてしまい、愚かな行動に走ってしまう危険性を孕んでいる。
私が勤務しているスーパーでも、トイレットペーパーが、今朝店頭に並ぶと同時に完売してしまった。普段は食品が売れ筋なので雑貨類が完売ということはそれほどないのだが・・・。

 

明歴歴露堂堂(めいれきれきろどうどう)

「歴歴」は明らかなさま。「露」は「あらわす」「あらわれる」という意味。


まっさらな心で見、聞けば、あらゆるものが明らかに見え、聞こえる。と私はこの禅語を解釈した。
見た目そのままが真実の姿とは限らない。五官を使って見よう、聞こうと心がければ、見た目でば気づかない真実に気づくことができるようになるのだろう。